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顧問契約は、企業・団体又は個人と法律事務所が継続的顧問契約を結ぶことにより、法律事務所が 企業等の日常的に法律サービスを提供するというものです。顧問契約によって得られるサービスの内容は顧問料等により異なりますが、日常業務上生ずる各種 問題に関する法律相談、契約書等の書面作成・点検、株主総会の相談・出席、講演会の実施などが 一般的なサービス内容となります。
また、紛争が実際に発生した場合には、事件着手金・報酬金等 の弁護士費用が必要となるところ、顧問契約を締結していると、各種費用の割引を受けることがで きます。 顧問契約を締結することのメリットは、何よりも何か困ったときに気軽にすぐ相談できる 弁護士を確保することができるという点にあります。
しかも、顧問弁護士の場合、当該企業と日常 的な関わり合いを持つことから、当該企業の業務内容や特性、組織の構成等についてよく把握して いるため、当該企業の特性に応じた迅速かつ適切な法律相談を行うことが可能となります。顧問契約を締結していないと、まず弁護士の選定作業が必要となり、その上で、事件の内容のみな らず、会社の事業や特性の説明まで行わなければならなくなるなど、迅速かつ円滑な意思疎通を期 待することが難しくなります。また、原則として、各個別の相談毎に法律相談料・手数料が発生し ますし、事件を委任する際にも費用の割引を受けることは難しいといえます。日常業務上の問題は、 そのほとんどが何らかの形で法律に関係する問題といっても過言ではありませんので、困ったとき にすぐ相談できる弁護士がいることは心強いものかと思います。
企業活動を行う上では、取引先などと極めて多数の契約書・覚書を締結することとなります。
また、企業内部を見ても、定款や就業規則を始めとした各種規定の整備を行うことも少なくありません。
一般に、これらの作業は、担当者の方がひな形を参考に作成されたり、又は取引先から提示された契約 書をそのまま用いるなどされることが多く、個別に詳細な検討を行うことは少ないというのが実情のよ うです。
しかし、契約書や覚書は、何らかのトラブルが発生したときに備えて、予めその責任の所在と 解決法を定めておくために作成するものです。
したがって、トラブルの際、より具体的には訴訟に発展 したとき、その契約書や覚書の記載内容やその解釈が争点となります。
当然相手方に有利な契約条件で あれば当方は不利になりますし、契約条項があいまいであると、その解釈を巡って紛争が生じます。
また、契約書や覚書、各種規定が労働基準法や借地借家法、不正競争防止法、独占禁止法などといった 強硬法規に違反する契約内容であったがため、後にその契約自体が無効とされてしまい、企業活動に重 大な支障を生じることもあります。
また、規定の内容が頻繁に起こる法改正に対応していないものも多 く見受けられます。したがって、契約書や覚書を締結し、又は規定を策定するに際しては、その書面に 内包された問題点をチェックするため、法律の専門家である弁護士の判断を受けることが不可欠だとい えます。
また、かかるチェックを弁護士に依頼することにより、総務・法務担当者の負担も大幅に減少 させることができ、より能率的な組織運営を行うことが可能となるでしょう。
「相手方との関係からいって、訴訟になることは到底考えられない。」という考えを持つ方が大変多い ようです。
しかし、我々弁護士扱う案件を見ると、そのほとんどが「裁判になるとは思っていなかった。 」「ひな形どおりだから大丈夫だと思っていた。」「この点を明確にしておけばよかった。」「形式的 なものだと言われて押印してしまった。」というものばかりです。
株主総会は、株主に対して企業の状況を直接報告し、株式会社の基本的指針を決定する極めて重要な法 律上の会議です。
反面、株主が役員に対して直接対峙する数少ない機会であることから、この場に乗じて会社に不当な要 求や攻撃をする格好の機会となってしまっていることも事実です。
捜査当局による取締やコンプライアンス意識の高まりにより、近年はいわゆるプロの総会屋等の特殊株 主は陰を潜めつつあるようですが、一般株主の権利意識の高まりに伴い、一般株主からの質問等が増え ているのが最近の傾向です。
情報公開を進める機会が増えることはコンプライアンスの観点からも好ましいことではありますが、株 主総会は法定の会議であり、その手続・進行に誤りがあると、後に決議取消・決議無効の対象となるな ど、企業運営に重大な支障が生じかねません。
そこで、株主総会が適法に運営されるよう、株主総会の事前準備、特殊株主との対応、当日の株主質問 に対する応答、議事録の点検等について弁護士に相談することが不可欠です。
労務管理は企業活動を円滑に運営するための最も重要かつ基本的な要素です。しかし、日常的な賃金管理や人事配置等もさることながら、賃金(残業代)、有給休暇、退職、懲戒処分、労働組合からの団体交渉申し入れ等、あらゆる労働にまつわる法律問題について、労働基準法を始めとする各種労働法規や、労働基準監督署の通達、さらには過去の判例に照らして適切であり、かつ各企業に合った対応を図ることは、実は非常に難しいものです。企業のコンプライアンスを確立し、トラブルを防止するためには、日頃の労務管理を専門家の視点からチェックすると共に、労働基準監督署から是正を求められる事態となった場合でも、慌てずに、何をどのような順番で対応することが適切であり、また各企業に合った方法であるのか、経験豊富な弁護士からのアドバイスを受けることで、初めて根本的な問題解決が可能となります。
労働基準監督署の調査対象になった場合、労働基準監督官が事業場内に立ち入り、関係帳簿の確認や担当者からのヒアリングを行います。その結果、口頭で改善指示がなされたり、法令違反につき是正勧告書や指導票が交付されます。そうなると、是正の方法や内容を定め、労働基準監督署に是正報告書を提出することとなりますが、いつまでにどのように作業を進めたら良いかについては、軽々に判断せず、きちんと専門家のアドバイスを利用することをお勧めします。
できます。確実に解雇するためにまず、「勤務態度が悪い」という証拠集めから始めましょう。 勤務態度不良の従業員の処遇に困っているというご相談は、非常に多くあります。勤務態度不良の従業員を解雇するために重要なことは、不良の原因である事実を「記録に残す」ということです。 解雇は、労働契約法上、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする。」(16条)と規定されます。具体的にいつ何があったか、正確な事実を提示しなければ、解雇の客観的合理性も、社会通念上の相当性も認められず、解雇が無効になる可能性があります。詳細な事実関係を正確に記録することが、全ての出発点となります。
組合の要求に全て応じる必要はありません。無理な要求には、弁護士を代理人に立って、毅然とした態度で対応しましょう。 従業員の労働条件と無関係な事項については、交渉する必要がありません。また、団体交渉には、必ずしも役員や管理職が出席しなければならないわけでなく、弁護士に代理を頼むことが可能です。交渉事項について責任のある回答ができる担当者、実質的な交渉が実現できる適任者(代理人)が出席していれば、十分です。 ただ、交渉事項の内容によっては、担当役員や管理職でないと責任ある回答ができない場合があり、このような場合、「団交拒否」に該当しないよう、特段の注意が必要です。
街宣禁止の仮処分を申し立て止めさせることができます。 当事務所では、様々な訴訟や調停を扱っていますが、緊急性を要する案件では、これら法的手続に先立ち、仮処分や仮差押えといった民事保全手続をお勧めしています。例えば、市街区整備や新社屋建設に際し、用地の一部借地権者あるいは旧ビルの一部テナントが明渡しに応じず、計画に大幅な遅れが生じる場合、断行の仮処分を活用して短期間に明渡しを実現した実績を有しています。 このほか、取締役の職務執行停止・株主の議決権行使停止の仮処分、銀行に対し凍結預金の支払いを求める仮払仮処分など、当事務所がこれまで取り扱った仮処分は、きわめて多岐にわたります。また、民事保全手続は、一刻を争う手続ですから、依頼者の協力もいただき、依頼当日に申立てを行うことも可能です。
事前の予防策と事後の再発防止策が重要です。 コンプライアンス意識の高まりにより、法令違反、ハラスメント、個人情報の漏えい、反社会的勢力の関与など企業不祥事に対する社会の非難が厳しく、企業の存続を左右するほどの重大な影響を受けることがあります。そのため、企業は、事前の予防策と事後の再発防止策を平時から用意する必要があります。 当事務所は、コンプライアンス研修だけでなく、不祥事が発生した場合でも、企業の損失を最小限にする提案をいたします。
企業不祥事を予防するためには、法令に限らず、社会通念上企業に求められる行動規範を、役員及び従業員が日頃から十分に理解して行動することが重要です。当事務所では、多様な研修の実績があり、企業のニーズに応じた研修を提供することができます(以下は一例)。 ・個人情報・企業秘密の漏えい対策の講習 ・セクハラ・パワハラの裁判例を素材とした研修 ・反社会的勢力を完全に排除する取組の提案と実行
企業不祥事の早期発見・対処のため、法律事務所を外部通報窓口として活用することが有効です。当事務所は、多数の企業の通報窓口を務めており、事実調査、法令適用などの助言を行い、かつ問題を穏便に解決した豊富な実績があります。
近年、企業不祥事は複雑化しており、法令や事実認定に精通する社外弁護士を調査委員会のメンバーに加えて、原因究明及び再発防止の措置を講じることが通例です。特に不祥事の態様が悪質である場合、企業から独立した委員のみをもって構成される「第三者委員会」の設置が望まれますが、この場合も社外の弁護士が主要なメンバーとなります。 当事務所では、企業が多額の架空取引に関与した事案、企業の元役員による不正取引の事案などにおいて、調査委員会のメンバーとして調査を行い、再発防止策を提示しております。 ※2010年12月17日改訂「企業等不祥事における第三者ガイドライン」(日本弁護士連合会)
業務に支障をきたすクレーマーに対しては、まず、弁護士から警告状を発します。 それでも止まない場合には、接触禁止の仮処分や、業務妨害を理由とした損害賠償請求を行うなど、毅然とした対応が必要です。 お客様からの意見や苦情は、会社のサービスに対する貴重なレスポンスであり、サービス向上を図る上で絶対に不可欠なものです。ところが、最近は、些細なことで言い掛かりをつけたり、高額の賠償金を要求してくるなど、常識的限度を超えた不当要求を行う者も少なくありません。 会社が、このような不当要求に対しても丁寧に対応していると、業務に支障をきたしたり、不必要な経済的負担を増大させて社員の士気に重大な影響を及ぼすことになりかねません。会社がこのような不当要求に対して毅然とした態度で臨み、法的に正しい方法で撃退するノウハウを身につけることは、健全な会社運営にとって不可欠といえるでしょう。
相手方との間で紛争が生じ、当事者同士の話し合いによってはもはや事態を打開できないといった局面を迎 えることがあります。 このような場合、弁護士を代理人として立てて、交渉に当たらせることにより、事態の打開を図ることがで きます。
また、それでも相手方が当方の要望に応じようとしない場合には、裁判、調停、仮差押え等の法的 手段を執ることにより、要望内容を実現していくことが可能となります。
他方、相手方が弁護士を立てて交渉を求めてきたり、相手方が法的手段を執ってくるというような場合も、 弁護士を立て、しかるべき対応を執る必要があるでしょう。
弁護士に紛争処理を依頼することにより、法的知識を駆使して様々な手段を執りうることができるというメ リットがあるのはもちろんのこと、紛争処理を弁護士に依頼することにより、本来の業務に人材を集中する ことができ、さらには、紛争の前面に弁護士が立つことにより、心理的な負担が軽減されるという声もよく きかれます。
紛争処理の方法のうち、主たるものは以下の各手続ですが、これらのうちどれを選択するかは、事件の内容 や相手方の対応、依頼者の意向により、適宜選択していくこととなります。 なお、調停、訴訟といった裁判所を介する手続を行う場合、手続や出頭を本人に代わって行う代理人となれ るのは、原則として弁護士のみです(代理人を立てない場合、原則として、当事者本人や会社・団体の代表 者自らが出頭・手続を行う必要があります)。
相手方との紛争を解決する方法としては、まず任意の交渉が考えられます。相手方との交渉では現状を打破できない場合、弁護士が代理人となって相手方又は相手方の依頼した弁護士 との間で交渉を行います。 相手方と交渉の結果、最終的に紛争解決の合意に達することができた場合、法的観点に基づいた示談書等を 作成し、紛争蒸し返しが起こらない形での合意を行い、紛争を抜本的に解決します。 相手方が、不当な要求を行ってくる場合や、度を超したクレーマー等に対する対応も行うことができます。
調停は、裁判所において、調停委員が双方の言い分を聞きながら、紛争解決のための妥協案を探っていき 、合意が形成される場合には調停調書という形で合意内容を定め、紛争を解決するというものです。 前述の任意の交渉と異なるのは、場所が裁判所であるということ、中立機関である調停委員が仲介役を務める こと、そして、調停調書には訴訟における確定判決と同様の効力が認められることから、相手方が合意事項に 違反した場合、強制執行等の手段により、合意内容の実現を図ることができるという点です。 調停は、あくまで話し合いの一形態ですので、ある程度当事者双方の全面対決色を緩和しつつ、柔軟な紛争処 理を進められるという利点がある反面、話し合いの一形態に過ぎないことから、双方の合意が得られない限り 紛争が解決しないという難点があります。 調停において解決が図れず、それでもなお紛争の解決を図る必要性が解消されない場合、後述する訴訟を提起 することとなります。
訴訟は、当事者双方の言い分に争いがある場合に、裁判所に申立を行い、裁判所に判決という形で判断を下し てもらう制度です。 双方の合意により最終的な解決を図るのではなく、裁判所がある一定の判断を下し、しかもこれに強制力をも たせるという点で調停と決定的に異なります。 もっとも、訴訟の経過で裁判所が仲裁に入り、和解という形で解決することも少なくありません。 この場合、和解調書というものに合意内容が記載されることとなり、この和解調書には訴訟における確定判決 と同様の効力が認められることから、相手方が合意事項に違反した場合、調停調書の場合と同様、強制執行等 の手段によって、合意内容の実現を図ることができるという点です。 紛争は話し合いで解決できるに越したことはありませんが、話し合いがまとまらない場合には結局その時点で 訴訟を提起しなければならなくなるということもあり、早い段階で訴訟提起することが得策といえる場合も少 なくありません。また、判決という強制力が背後に控えていることにより、相手方との合意(和解)がまとま りやすいという利点もあります。 判決が確定したにも関わらず、相手方がこれに従った履行を行わない場合は、強制執行という手段によって、 判決内容の実現を図ることができます。
確定した判決や、調停調書、和解調書等に示された内容を相手方が実行しない場合、裁判所に強制執行の申立 をすることができます。 例えば、金銭の支払いを命じる内容を実現するために行う不動産、債権(銀行預金や給与等)、動産(家財道 具等)の各差押え、建物の明け渡しを命じる内容を実現するために行う建物明渡の強制執行などがあります。
訴訟にはある程度時間がかかることは否めません。そのため、裁判が始まった段階では相手方が財産を持っ ていたり、引き渡しを求める対象物を保有していたとしても、勝訴判決をもらった段階では、財産が散逸して しまったり、裁判の目的となる対象物を第三者に移転・譲渡してしまったりする可能性があります。このよう な場合、仮に勝訴判決をもらったとしても、実際に権利の実現を図ることが困難となります。 そこで、このような事情がある場合、訴訟を提起する前に、相手方の財産を仮に差押えたり、相手方に権利関 係の移転を禁止するよう命じることができ、これを総称して「保全手続」といいます。 保全手続は、原則として密航性を保ちながら、迅速に権利の保全ができるという大きなメリットがあります。 また、保全のバリエーションも極めて多岐に亘り、柔軟な使用が可能となっているため、積極的に利用するこ とが望ましいものと考えます。 他方、訴訟における十分な審理を行う前に、一定程度の強制処分を相手方に下してしまう手続である関係上、 その主張を十分裏付ける資料を提出する必要があるほか、現金を担保として供託しなければならないものとさ れています(金銭請求の場合、担保の額の目安は請求額の20%ないし30%程度といわれています)。 なお、この担保金は後に提起する訴訟で勝訴すれば返還されます。
裁判所に訴状が提出されると、裁判所は第1回裁判期日を決定し、訴状の副本とともに呼出状を被告へ送付 します。被告は訴状を受領すると、訴えに対する答弁書を提出します。この時点で事件の争点が明確になり、そ の後は、争いのある部分について双方が主張・証拠の提出を行います。裁判所は双方の言い分を整理し、証拠・ 証人の取調べを行い、判決を言い渡します。途中で裁判所が仲裁に入り、和解で解決する場合もあります。主な 民事裁判では、裁判期日は1ヵ月に1回程度のペースで行われ、一審は1年から2年程で終了します。判決内容 に不服がある場合は、判決正本を受領した日から2週間以内に控訴の手続を行います。 お仕事の都合などで毎回裁判に出席することができない場合は、やはり弁護士に委任するほうがよいでしょう。 代理人として弁護士がついていれば、証拠・証人取調べの期日を除いてほとんどの裁判期日は弁護士が出席します。
一般に、消費者金融業者は、「利息制限法」という法律で定められた上限以上の利息を債務者から徴収していま す。そこで、弁護士は債権者に対し、取立行為を止めるように求めると同時に、取引開始時から現在に至るまで の取引経過の提出を求めます。 そして、取引開始時から遡って法定上限利息で現在の元利金残高を計算し直すと、大幅に残元金が減少するケースがほとんどです(但し、取引期間や弁済状況などによって減額幅は異なります)。 そこで、このようにして減額した金額を元金とし、かつ将来利息もカットした分割弁済方法で、和解を成立させることを目指します。
破産は、その時点で保有する財産を金銭化し、これを債権者に平等に弁済することで、その余の債務について支払いの免責を受けるという法的手続です。 破産のメリットは、債権者の同意をいちいち得ることなく、全ての債権について一括して抜本的な解決が図れる ため、経済的な再起更生を早期に実現することができるという点です。 他方、破産をする事によるデメリットは、破産手続を行っている期間はある一定の職業(弁護士や宅地建物取引 業等)につけなくなることなどがあげられます。 この点、破産をすると、戸籍や住民票に記載されるとか、海外旅行に行けなくなる等の不利益があるという噂を 良く聞きますが、事実に反します。また、不動産、預金、株式などを始めとした資産価値がある財産については 、これらを売却の上、債権者に対する配当の対象とされますが、現在では生活に必要な家財道具や最低限の金員 等、換価の対象と出来ない財産の範囲も広く認められています。 裁判所の手続も簡易化・迅速化が進められており、一般に破産による不利益はほとんどないものといわれています。
これは、債権者に対する一定の返済を行うことを予定している点で1つ目の任意整理に近く、法的手続である という点で2つ目の破産に近い方法になります。
多重債務を抱えた場合、解決方法は大きく分けて3つ考えられます。
1つ目は「任意整理」といって、法的手続を使うことなく、当該債権者と個別に任意の交渉を行うことによって、 解決する方法です。
2つ目は「破産」といって、その時点で有している財産を処分して返済し、それでも返済しきれない債務につい ては「免責」をしてもらうという法的手続を用いる方法です。返済に充てる財産が無い場合は、財産の処分も行 われません。
3つ目は「民事再生」等、弁済を行うことを前提とした再建型の法的手続を用いることにより解決する方法です。 弁護士が多重債務を負った方から事件を受任すると、各債権者に対し、直ちに受任通知を発送します。 これで債権者からの取立て行為が止まります。そして、その後、依頼者の債務・資産の状況、今後の収入の見込 み等の事情を検討し、さらには依頼者の意見も伺いながら、上記3つのうち、どの方針を取るか決定していくこととなります。
(1) 被疑者(容疑者)が逮捕されると、まず警察の取調を受けた後、48時間以内に検察官に送致され、 ここでさらに検察官から事情聴取を受けます。 そして、検察官が引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合、検察官は、裁判所に対し、24時間 以内に勾留の請求を行います。 すると、裁判官は被疑者を裁判所に呼び、勾留質問という事情聴取を行った上で、勾留するか否かを判断し ます。ここで裁判官が勾留をする必要がないと判断されると、被疑者は釈放されることとなります。 勾留がなされると、原則として勾留請求された日から10日間、身柄が拘束され、その間取調や実況見分等 の捜査が行われます。また、10日間で捜査が終わらない場合には、さらにもう10日間勾留が延長される ことがあります。 勾留期間の満了が近くなると、検察官は、諸般の事情を考慮した上で、被疑者を裁判所に起訴するか否かを 決定します。 検察官が起訴をすると、裁判所における審理・判決が終わるまでの間、身柄拘束が続きます(なお、被疑者 が起訴されると「被告人」と呼ばれることになります)。起訴されてから裁判所における審理・判決が終わ るまでは、どんなに早くとも1か月以上かかりますので、この間身柄拘束が続くというわけです。 身柄拘束を解くためには、保釈手続を取らなければなりません。 他方で、検察官が起訴をしないとの決定をすると、身柄は釈放されます。また、検察官が起訴をするとの決 定をした場合でも、罪状が軽微な事件の場合、罰金の納付を行うことを条件に、身柄が釈放されることがあ ります。 裁判では、裁判官が犯罪事実の有無を調べ、被告人が有罪か無罪かを判定します。また、有罪である場合、 どのくらいの刑を科するかを併せて決定します。 事実に争いがある場合、目撃証人等の証人尋問が行われることになります。また、事実に争いがない場合に は、被告人の家族の証人尋問などを行い、専らどの程度の刑罰を科すのが相当かが審理されます。
破被疑者・被告人には憲法上保障された黙秘権があります。 これは、問われたこと全部について黙秘することができるのみならず、話したいことについてのみ話し、話し たくないことについては話さないということもできます。 黙秘をすると、重い処分が科されるのではないかと思われがちですが、黙秘権を行使したことを理由に不利益 な処分を課すことは許されていません。
警察官や検察官から取調べをうけると、供述調書という文書が作成されます(もちろん、話したくないこと については黙秘できるということは既に述べたところです)。これは、被疑者が話した内容を、警察官や検察 官が語り調の文章にまとめたもので、文章の末尾に被疑者が署名・押印(又は拇印)することで証拠としての 効力が生じる文書です。 供述調書は、裁判を行う上で極めて重要な証拠となるものです。したがって、いったん供述調書が作成されて しまい、それに被疑者が署名・押印(又は拇印)してしまうと、例え法廷でこれと異なる証言を行っても、供 述調書に記載された内容を覆すことは極めて困難です。 供述調書が作成された場合には、必ず警察官や検察官が内容を読み返して被疑者に内容を確認しなければなら ないことになっています。そこで、供述調書が作成された場合には、必ず内容をしっかり聞くのみならず、供 述調書そのものを自分で読むなどして内容を十分確認し、訂正すべきところは訂正を申し出た上で署名・押印 (又は拇印)をすることが不可欠です。 被疑者は、供述調書への署名・押印(又は拇印)を拒否する権利を持っていますので、内容に誤りがあったり 、訂正に応じてくれない場合ははっきりと署名・押印(又は拇印)を拒否する必要があります。 「取調に疲れた」「間違いがあったが些細だった」「面倒くさい」等の軽い気持ちで署名・押印(拇印)する と取り返しのつかないことになります。
被疑者には、憲法上弁護人選任権が保障されています。 弁護士は、被疑者と接見し、被疑者がかけられている嫌疑の内容や、捜査の内容を聞き、法的な問題点が無い かを検討し、必要なアドバイスを行うほか、家族や関係者との連絡を取り、善後策を検討したり、検察官に面 会を求め、処分に関する意見を述べていくことになります。 弁護士の知り合いがいないという場合、「当番弁護士」という制度を利用することができます。当番弁護士は、 各弁護士会が自主的に運営している制度で、その日の当番になっている弁護士が、接見に駆けつけるという制 度です。利用の仕方は、警察官や検察官に対して、「当番弁護士を呼んで欲しい」と申し出るだけです。 第1回目の接見に限り、費用は無償となっていますが、引き続きその弁護士に弁護活動を依頼する場合は有料 となります。
狭い留置場での生活、慣れない食事、自由の制限、長時間に亘る取調等により、被疑者の心理状態は想像を 絶するものとなります。疲労が原因となって虚偽の自白がなされ、冤罪が生じてしまうのもそのためです。 したがって、被疑者がいわれのない罪で取調を受けているような場合、早期に弁護士を依頼し、このような虚偽 の自白が行われてしまうことを避けなければなりません。 特に、接見禁止処分が下されている場合、被疑者は弁護士以外とは一切面会をすることが出来ません。 身柄拘束が長期間に及ぶ中、誰とも面会が出来ないという状況は大変な苦痛であり、虚偽の自白を誘引すること にもなりかねません。よってこのような場合、弁護士を選任する必要性はより高いものといえます。 それでは、犯罪を行ったこと自体は争いがない場合には弁護士を依頼する必要がないかというと、そのようなこ とはありません。 先ほど述べたように、勾留期間満了間近になると、検察官は、被疑者を起訴するか否かを決します。 その際、検察官は被疑者や事件を取り巻く様々な事情を斟酌して判断を下すことになります。したがって、被 疑者に有利に斟酌すべき事情が多ければ多いほど、起訴を免れる可能性が高まることになるのです。 まず、犯罪を行ったこと自体が間違いなくとも、供述調書の取られ方によって、事件のニュアンスは大分異な ったものになります。したがって、正確な供述調書の作成を求めていく必要性は、犯罪を行ったことが明白 な事件であっても何ら代わるものではないのです。 さらに、被害者がある事件では、被害者に対する被害弁償を行うことで、検察官へ酌量を求めていくことも可 能です。 また、家族や関係者と善後策を協議し、被疑者がスムーズな社会復帰ができるような環境を整えることも弁護 人の重要な役目です。
起訴がされると、保釈手続をすることができます。保釈は、起訴された被告人について、ある一定の金銭を提 供することを条件に、裁判が行われる期間、身柄を釈放してもらう手続です。 被告人がきちんと裁判期日に出頭し、判決手続まで終了すると、その判決内容にかかわらず、保釈金は全額返 還されます。 ただし、保釈に際しては条件が付され、無断転居や事件関係者との接触等が禁止されます。 これらの保釈条件に違反したり、裁判の日に出頭をしないと保釈金は取り消されて再度収監され、保釈金も没 収されます。 保釈に際しては、検察官の意見が結論を大きく左右する傾向がありますので、弁護人は、裁判所のみならず、 検察官に対しても種々の申し入れを行うことになります。 裁判において、弁護人は、それまでの活動を踏まえて様々な主張を行い、被告人が犯罪を犯していない場合に はその旨を、犯罪を犯したことについて争いがない場合には寛大な刑罰を求めていくことになります。 起訴されたにもかかわらず、自身の弁護人を依頼できない被告人は、国から国選弁護人を付けてもらうことに なります。 国選弁護人は国が指定しますので、被告人が選ぶことはできません。また、国選弁護人が選任されるのはあく まで起訴後ですので、取調が行われる起訴前の段階では弁護活動をすることができません。
裁判所から訴状、支払督促が送られてきた場合、答弁書の提出や裁判所への出頭等、必要な対応を取る必要 があります。 この対応を行わずに放置しておくと、欠席のまま全面敗訴の判決が下されるなど、取り返しのつかない重大な 不利益を被るおそれがあります。 したがって、このような書類が送付されてきた場合には、直ちに弁護士に相談し、対応策を協議することが不可欠です。
最近、全く身に覚えがないにもかかわらず、インターネットのアダルトサイト利用料金等が未納であるとして、 債権回収会社や公的団体を名乗る業者等から郵便・メールが送られてくることがあります。 相手方は、「期限までに支払をしないと法的手段を取る。」という強い口調で支払を迫ってくるため、送付を受 けた人はつい不安になってしまい、指示どおり振込をしてしまうことが多いようです。 しかし、これらの請求の大半はいわゆる「架空請求」であり、詐欺行為そのものにほかなりません。 したがって、身に覚えのない請求であれば、もちろん支払う必要はありませんし、連絡をする必要もありませ ん(むしろ、相手方はこのような連絡をしてくるのを待っています)。 最近は、被災地への義捐金や年金保険料を名目としたものや、裁判所や弁護士の名前をかたった請求まで横行 していますので注意が必要です。また、前述した裁判所の支払督促の制度を悪用したものもありますので、裁 判所名義の通知の場合は、当該裁判所に電話をして確認する等の対応が必要です (この場合、当該裁判所の電話番号は、番号案内等を利用して自分で調べるべきです)。 判断に困る場合は、弁護士や警察、消費者相談センターに相談してください。