
学習塾での保護者間トラブルにおける塾の関わり方についての記事が2026年7月25日の日本経済新聞に掲載されていました。学校だけでなく、塾や習い事においても、子ども同士でのトラブルが、保護者間のトラブルに発展する例は後を断ちません。子ども同士だけでなく、保護者が関わり始めた場合、大人が介入することで、我が子を注意指導したり、励ましたり、話し合いや謝罪の場を設けるなどの対応を通じ、わだかまりや負の感情、関係がうまく浄化することも多いと思います。
他方、反対に、保護者の関与の仕方によっては、むしろ、当人である子ども達の気持ちを十分に汲むことができず、保護者自身の感情で、問題を深刻化させてしまうようなケースも目立つようになりました。子どもを預かる学校、塾、各種教室において、このような保護者間トラブルが起きたとき、どのような関わり方をするべきでしょうか。
~いわゆるカスタマーハラスメントとの関係~
最近は、保護者の学校や塾への要望が、カスハラと言われるようなことも起きています。我が子にトラブルが生じたとき、保護者としては、時に冷静でいることが難しく、問題が起きた場である学校や塾に対して、過剰であったり、執拗な要求を繰り返してしまうことがあります。もちろん、学校や塾としては、お預かりしている大切なお子様のトラブルは、解決したいと考えているので、保護者の話を丁寧に聞き、良い対処法を真剣に検討するという対処をしているはずです。
しかしながら、学校や塾が誠実に対応していても、うまく解決に進まないとき、保護者の行き場のない怒りや不満を受け止め続けた結果、学校や塾でその話を聞いている担当者の方が滅入ってしまい、業務に支障を来たすという、新たな問題を生じさせてしまいます。令和8年10月1日施行の改正労働施策総合推進法において、「カスハラ」については、次のように規定されています。
第33条
事業主は、職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者(顧客等)の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたもの(顧客等言動)により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
(※条文につき一部割愛)
相手方生徒を退学、退塾させてほしい、呼び出して土下座させてほしい、対応した先生を辞めさせてほしい、クラス替えや担当変更をしてほしいなど、事案によっては適切とは言い難い要求である場合や、要求内容の問題ではなく、威圧的で恐怖を感じるような物言いであったり、長時間あるいは執拗な回数に渡る要求の仕方であるときは、上記の「社会通念上許容される範囲を超えたもの」として、学校、塾、各種教室は、教職員、従業員を守るべく、必要な措置をとらなければなりません。具体的には、対応方針やマニュアルの作成、その中で相談体制の整備や、事案発生時の事実確認、事後対応について検討しておくことが必要です。また、日頃の対応として、面会時間の制限、複数人対応、記録の徹底をお勧めします。そして、一定の対応をしても、解決しない場合は、内部対応を終了し、弁護士へ窓口を移す決断も必要です。
もし、自分たちで対応方針や対応マニュアルの作成が難しい、あるいは対応の仕方に疑問があるなどの場合は、ぜひ教育機関の法務トラブルに精通した弁護士に相談してください。生徒の安心安全、そして、その生徒に教育サービスを提供する教職員、従業員の安心安全な就業環境を守るため、日頃の事前対策と、事案発生時の適切な対応ができる状態になっているか、この機会にぜひ見直しをお願いできたらと思います。
